骨の髄まで
続く言葉が知りたくて、私は待つ。
「もっと早くに話しかけていたら」
もっと早く。
もっと前に。
月野さんから勉強を教わったり、蕎麦を一緒に食べたりしていたら。
私は月野さんを憎まず、月野さんはもっと感情豊かになっていただろうか。
「どうですかね、私は思春期でしたし、母の視線がある手前、きっと今みたいに話すことは無かったと思いますよ」
現実はもっと複雑だ。
そう言うと、月野さんも分かっていたのか力なく肩を竦めた。
「そうですね」
でも、私も同じような想像をしていた。
きっと月野さんは勉強を教えるのも得意だっただろうし。