骨の髄まで
月野さんは無表情のまま「話したことは無かったです」と答える。その通りだ。
「強いて言えば存在が邪魔だったらしいです」
「そこまでは言ってません」
「でもそういうことを思ってたんだ」
「思って……ましたね……」
それには嘘を吐けず、私は認めた。
「まあまあ嫌われてた月野くんはさ、日下部さんのどこが良いなあと思ったの?」
その問いを聞いて、顔を上げる。私もそちらを見た。
それは訊いたことがなかった。
聞いてみたいとも思っていた。
月野さんのビールは底をつきそうだった。飲むペースが早すぎる。