骨の髄まで
近くを通った店員さんにお冷を頼む前に、月野さんはお替りのビールを頼んだ。
「小学生になるかならないかくらいの時に、本家の家に集まった子供たちで蛍を見に行ったんですよ」
月野さんがこちらを見る。
「あ、それは覚えてます。結構遠い沢に」
頷いた。雲田くんは「本家とかあるんだ……」と違うところへ注目していた。
「あの時は曽祖父の家が総本家だったので、そこに親戚一同集まってましたね」
「一同泊まれるくらいだから大きくて」
「ちなみに今は大伯母です」
「大伯母様が継いだんですね」
「本家トークは良いから。蛍どこ行っちゃったの」