骨の髄まで
なんと返すべきなのか、よく分からない。
「星土さん、これは俺たちが聞いて良かった話なんですか」
「あたしも同じこと思った。なんかごめんね、日下部さん」
「いやあの……聞けて良かったです」
結局出てきた良かったという言葉。
それは本心だ。
「見た蛍は覚えてるんですか?」
「はい、すごく綺麗でした」
生まれて初めて見た蛍の光に、胸が踊ったことはよく覚えていた。
子供が数人がいたので、今でさえどの子が月野さんだったのか、何の会話をしたのかも思い出せない。
「じゃあ今度、蛍を見に行きましょう」