骨の髄まで
確かにそうするよりも、普通に月野さんに仕事をさせた方が効率も良いし有意義だ。
「それが月野くんが圧をかけた、みたいな噂がまわったことがあった。月野くんもあんなだから、誤解を解くわけでもなくてさー」
星土さんが思い出すようにしてため息を吐く。
「もしかして、星土さんって月野さんのこと好きなんですか?」
「いやまさか。あたし、結婚してるし」
きらりと光る薬指を見せられた。
確かに無言の圧はある、気がする。
資料のチェックをお願いして、五分無言。
最初の二分はその手元を見て待っていたが、流石に手持ち無沙汰で視線を月野さんの机へ這わせる。