骨の髄まで
電卓は受け取れなかったけれど、ハンカチはしっかりと受け取った。ちゃんと涙とアイシャドウを拭う。
「何か、気に触ることを言いましたか」
「いや、じゃなくて。私……ごめんなさい……」
でも、涙が止まらない。
「どうして謝るんですか」
月野さんは穏やかに静かに尋ねる。
「月野さんのこと、好きです」
笑ってほしいのも、笑っているのを見たいのも、好きだからだ。
「なのに、たくさん傷つけて、ごめんなさい」
漸く謝れた。
長い長い懺悔だった。
「どうして謝るんですか」
同じことを訊かれた。