骨の髄まで
朝日と光
人事部の階で降りて少し歩く。中途社員の研修について上から言伝を預かっていた。
月野はフロアの入り口一歩手前で立ち止まる。
「日下部は災難だったよな」
「よりによって上司があの人で、しかも日下部さんも普通に仕事できるからね」
盗み聞きのような形になってしまったが、致し方ない。
「出来た仕事だけ横取りされて、よく黙ってたよ」
月野は一歩を踏み出した。
「日下部って、営業に配属になった日下部のことですか」
入り口付近のデスクに座っていたのはまだ若い人事部社員だった。話しぶりからして、日下部倫の同期か少し上の先輩か。