失恋したら、別の幸せが待っていました!~憧れの部長と溺愛婚
 私、きっと……翔がいたから気付かないふりをしていただけで、本当はずっと部長が好きだったのかもしれない。そのくらい自然と受け入れてしまう。部長は社長になる器を持ち合わせている素晴らしい人材だから、私以外の素敵な誰かが現れたら身を引く覚悟である。せめて今だけでも幸せな気分でいたい。

「そろそろ戻ろうか。先に戻ってるから、樋川は後から来て。それまでに三島を抑えておく」

 部長は抱きしめていた腕を私から離して、先に戻って行った。私が戻った頃には三島さんのほとぼりが冷めており、胸を撫で下ろした。

* * *

 私は部長の大和さんと交際をすることになり、お試し期間の二週間は遠に過ぎ去り、二ヶ月目に突入した。すぐに飽きられてしまうかもしれないとか、他に素敵な女性が現れるかと思っていたのだが、思いの外、大和さんに溺愛されている。

 普段から切れ長の瞳が無愛想に見える時もあり職場ではクールな男性だけども、二人きりの時は……

「今日は接待があるから遅くなりそうなんだ。だから、美月の自宅で待ってて」

 寝起きでベッドにちょこんと座っている私の頭を撫でる。
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