失恋したら、別の幸せが待っていました!~憧れの部長と溺愛婚
「夕飯作っといてくれる? 次の日は休みだから泊まっても良い?」と大和さんが私の目をじっと見て言った。

 見つめられて恥ずかしくなり、目線を逸らす。

「返事は?」

「……はい」

「よろしい」

 大和さんは少し乱れている前髪の隙間から見える額に優しく唇を触れた後、私を抱きしめた。感情が高まる。このまま、大和さんとずっと一緒に居たい。

 スーツ姿の大和さんの背中に腕を回して、存在を確かめた。付き合って二ヶ月になるのに、大和さんに触れる時は胸の高鳴りが収まらずに鼓動が早くなる。

「美月が可愛すぎて仕事に行きたくなくなるな」

 大和さんは私の肩にポスンと額を付けて、頭を乗せる。抱きしめられている力が強くなり、大和さんの吐息が近くに感じられる。

 大和さんが頭を上げて、私の顔を見ながら愛おしそうに頬や髪に触れる。緊張してガチガチな私を見ては微笑む。

「いつまでも初々しいね、美月ちゃん」

 ドサッとベッドに押し倒されて、上から見下ろされると思わず目線を外してしまう。スーツ姿の大和さんは超絶カッコよくて、大人っぽい色気を醸し出していて心臓に悪い。

 見下ろされているのが恥ずかしい。

「顔が真っ赤」

 大和さんは私の首筋や頬にキスを落とし、ブラウスのボタンを外して行く。

「や、大和さんっ! 時間なくなっちゃう」

「まだ大丈夫だよ」

「私が駄目なんですって!」

 大和さんのラブモード? のスイッチを私が入れてしまったらしく、出勤前にもかかわらずに押し倒されている私。

 大和さんを押しのけようにも出来なくて、されるがままに甘さに酔いしれていく。

「美月、可愛い」と言ってネクタイを外そうとして緩めた時に朝早くから会社のスマホが鳴り出す。

「電話ですよ」

「大丈夫、後でかけ直す」

 スマホの着信音を無視し続けるも、何度も繰り返しかかって来る電話。大和さんは舌打ちをし、仕方なく電話に出ると急用だったらしく、脱いでいたジャケットを着直す。
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