失恋したら、別の幸せが待っていました！～憧れの部長と溺愛婚

「三島、今のは酷すぎるぞ！」
「樋川さんに謝れ！」と周りから野次が飛んだ。

「樋川すまない、今日は契約が決まりそうだった案件が駄目になったんだ」

　バツ悪そうに三島さんは謝ってくれたが、私は手の震えが止まらなかった。

「三島も樋川ちゃんに感謝しなくちゃ駄目よ！　何度注意されても担当してくれているんだから。あんたみたいな奴、本当だったら樋川ちゃんの方から担当外して欲しいって言われてもおかしくないんだからね！」

　梅田さんが私のことを庇うかの様に三島さんに言い張った。三島さんは唇を噛みながら、梅田さんを睨みつける。

　負けずに梅田さんが三島さんを睨みつけ、緊迫した雰囲気が続いた。

　私は動揺を隠せずに資料を落としてしまっていた。そんな私の姿を見て、大和さんが悲しそうな顔をしている。

「だいたい三島って、入社当時からわがままよね！」

「何だとー！　お前なんて、女ってだけで女好きなプロデューサーとかに契約結んでもらってるだけだろ？　枕営業やってたりしてな？」

「聞き捨てならないわね！　やるわけないじゃない！　部長からも三島にガツンと言ってやって下さいよー！」

「そうですよ、部長から梅田に注意して下さい！」

　白熱していくバトルの合間も私のことを気にかけてくれている大和さんが、二人の後ろ姿を背に私に駆け寄った。二人のバトルなど、まるでどうでも良いかの様に……。