失恋したら、別の幸せが待っていました!~憧れの部長と溺愛婚
「樋川、大丈夫か? 手が震えてるぞ」

 震えている両手を大和さんの両手で握りしめてくれた。

 少しづつ落ち着きを取り戻した私は、「だ、大丈夫です」と言って大和さんの両手を振り払ってから資料を再び拾い始めた。

 駄目だよ、大和さん。私達の関係が職場の皆にバレてしまう。

「三島、梅田、それに皆も少しだけ話を聞いてくれないか」

 部長である大和さんの一声で、電話対応している社員以外の皆が注目する。

「実は私事で申し訳ないんだが、皆に報告がある」

 何だろう? 私事って?

「私、本宮大和と樋川美月は近い内に入籍したいと思っている。奥さんが同じ部署と言うのも会社としてはタブーとされているので、近い内に人事部に掛け合うつもりだ。以上、報告終わり!」

 え、え、えぇー?
 どんな展開? 今の状況は何だろう?

「部長と樋川さんって、付き合ってたの?」
「プロポーズの言葉って何?」
「部長ー、いつ樋川さんに手を出したんですか?」
「樋川さんが告ったの?」

 ケンカ中のどんよりムードから一転して、皆の質問が飛び交う。
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