失恋したら、別の幸せが待っていました!~憧れの部長と溺愛婚
「今更断られても困ります。あんな公衆の面前で結婚するなんて言っちゃったし、お断りされたら大和さんは恥ずかしくて会社を辞めるしかないですね」

 すると、大和さんはおふざけしながら返答してきた。

「何ですか? そのキャラクター。断るはずないじゃないですか! でも自信がないです。私で良いのかな? って。仕事もそこそこにしかできないし、料理もありきたりな物しかできません。大和さんみたいに信頼があるわけでもないし、梅田さんみたいに美人でもないですもん!」

 大和さんは切れ長の瞳が特徴的な整った顔立ちで身長も高くてスラリとしているし、学歴も現在の地位も申し分なく、社内でもモテている。

 毎年、バレンタインの時も本命チョコレートみたいなのが何個も届いていただと噂に聞いている。私なんかが選ばれたのが不思議なくらいだ。

「美月は馬鹿だなぁ。俺は美月しか見てない」

「私だって大和さんだけを好きですよ」

「……今すぐ抱きしめたいんですけど?」

 大和さんはホットコーヒーのカップをデスクに置き、そっと手を伸ばしてきた。

「だ、ダメです! 社内では駄目っ」

「じゃあ、帰ろうか」

 二人で部署内の電気のスイッチを消し、エレベーターへと乗り込む。社員証をかざして社外に出た途端、大和さんに左手を握られた。
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