失恋したら、別の幸せが待っていました!~憧れの部長と溺愛婚
 大和さんの自宅マンションにお泊まりして、昼間は映画を見に行ったり、ショッピングをしたりしてあっという間に夜になってしまった。楽しい時間は一瞬かと思える程にすぐに過ぎてしまい、土曜日の休みが終わろうとしていた。

「コース料理、美味しかったです。シャンパンも飲みやすくて美味しかった!」

 夜景の見える最上階のレストランでフレンチをご馳走になった後、いつの間にか大和さんが予約してくれていたホテルの部屋の中で過ごしている私達。今日は特別コースのデートだった。

 初めてのスイートルーム。

 内装もこだわりがあり、お姫様になったかのようなホワイトを基本とした家具にクイーンサイズのベッド、浴室には薔薇の花びらが置いてあった。

 広々とした浴室で入浴後、ルームサービスのシャンパンを飲みながら夜景を見下ろす。

 初めて大和さんと一緒にお風呂に入ったからか、酔っているのか、大和さんは上機嫌。

「美月、左手出してくれる」

「はい?」

 シャンパンを右手に持ち、左手を大和さんの目の前に差し出すとチュッと薬指にキスをされた。

「改めて、樋川美月さん。結婚して頂けますか?」

 ジャケットのポケットから取り出された小さな箱を手渡された。開けてみるとダイヤが散りばめられた、カーブしている可愛いデザインの婚約指輪だった。

「はい、喜んでお受けいたします」

 嬉しくて目尻に涙が浮かんでしまう。大和さんは目尻にキスを落としてから、指輪を左手の薬指にはめてくれた。

 夜景の灯りだけが差し込む部屋で、指輪が何十倍にも何百倍にも光輝いている様な気さえしてくる。

「大和さん、ありがとう。こんな私だけど、宜しくお願いいたします」

 大和さんに抱き着くと、お姫様抱っこをされてベッドへと連れて行かれた。押し倒されて、ベッドが軋む。
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