失恋したら、別の幸せが待っていました!~憧れの部長と溺愛婚
「実は私、部長に告白して振られてるの。でもさ、彼女が樋川ちゃんみたいな可愛い子で諦めついたよ。私と全然違うタイプだもの」

 私は何て答えたら良いのか分からずに少し黙ってしまった。梅田さんが、部長を好きだったの? それなのに私にあんなに優しくしてくれて、私達の関係も受け入れてくれた。

「樋川ちゃん、大丈夫よ。そんなに落ち込んでないから、私。仕事ではさ成績が良くても、恋愛は昔っから向いてないタイプなんだよね。それにほら、私は結婚してもバリキャリのままでいたいんだよね!」

 私の頭を優しくポンポンしてくれて、私のことを落ち着かせようとしていた。結婚してもバリキャリでいたい、だなんて梅田さんらしい。

 美人で仕事もできて、性格の良い梅田さんを振ってでも私を選んでくれた大和さんには感謝すると共に趣味が悪いのかな? って疑ってしまう。

 世の中の男性の大半が梅田さんを選ぶとしたら、私を選んでくれた大和さんは貴重な人なのだろう。

「部長には好きな人が居るからって断られたんだけど、どんな人? って聞いたら、とても可愛くて放っておけない人だって言われた。正に樋川ちゃんがその通りの人だから私も納得がいったの」

 梅田さんは自分の心の内を話をしてくれたけれど……、私はどう接して良いのかが分からない。失恋の痛みが私も良く分かる。

「私、大和さん、えっと部長みたいに私のことを気にかけてくれたり、出来損ないの私なんかを支えてくれた人は初めてなんです。惚気けとかじゃなくて、今までロクな恋愛してこなかったので今の出会いを大切にしています」

「うんうん、可愛いっ! 引っ込み思案に見えて、自分の意見も伝えられる所が部長が惹かれた部分だと思うよ。……よしっ、今度、飲もっ! 飲んで語ろ!」

「はい! 宜しくお願いします!」

 いつの間にか、梅田さんに肩をガッチリと組まれていた私。身長が高い梅田さんが女性の平均的な身長の私と肩を組むのは、ガッシリと捉えられているようだった。
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