失恋したら、別の幸せが待っていました!~憧れの部長と溺愛婚
「うわっ、梅田じゃん。樋川が可哀想」

「何だよ、三島!」

 営業部へと歩いている時、三島さんとすれ違う。朝の挨拶よりも先に梅田さんと三島さんの争いが始まってしまった。

 肩を組んでいた腕は離され、三島さんと梅田さんの縄張り争いの様な掛け合いが段々とヒートアップしてくる。

「梅田、おはよう。朝から漫才やる程に仲が良いんだな」

 大和さんともすれ違い、過熱するような一言をかけていく。二人共、バツが悪かったのか、一瞬で黙った。

 そんなこんなで営業部に来ると……部長席の隣にホワイトボードが置かれていて【本宮部長、樋川さん、ご婚約おめでとうございます】と書かれていてた。大半の社員さんが出勤しているようで、音だけが鳴る散らからないクラッカーを鳴らされる。私は目を丸くして驚いた。

 営業部の皆からの祝福だけではなく、そこにはお世話になっていた総務部の方々も来ていたから。

 大和さんは先程、どこかに行ってしまい、不在だから私のみで祝われている。

「樋川、おめでとう。実は唯一、俺だけが本宮が樋川と付き合っていたのを知ってたけどな」

「大川部長!」

 大和さんと大川部長は仲の良い同期であり、営業部の人手不足を相談していたことも確かである。おめでとうと言われて、両手で握手をされた。その内に大和さんが戻ってきて、更にお祭り騒ぎになる。

「後日、二人の予定を確認してからの結婚前祝いを開催いたしますので宜しくお願いいたします」と三島さんが言い、幹事は三島さんと梅田さんだと発表された。

 短時間ではあったが、朝からの祝福に私は心が踊っていたが、大和さんはちょっぴり呆れ顔だった。仕事のできない私が前よりも、部署内の皆と打ち解けられた貴重な時間でもあった。

 朝早くから準備してくれた方々に感謝したい。私は本当に幸せ者だなぁ。
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