失恋したら、別の幸せが待っていました!~憧れの部長と溺愛婚
「姉ちゃん、久しぶり!」

「久しぶりだね、蒼空」

 ロビーに向かうと私の両親と弟の蒼空(そら)が到着していた。蒼空は五歳下の弟で現在は大学生。

 小さい頃から私に懐いていて、蒼空が小学校一年生までは一緒にお風呂に入ったりしていた。反抗期の時期も私にだけは素直に話してくれた、可愛い弟である。

「本日は遠くからお越し頂き、ありがとうございます。君が蒼空君だね。美月から話は伺っています。初めまして、本宮大和です」

 大和さんが私の両親に挨拶を済ませ、蒼空にも挨拶をしたのだけれど、「俺からしたらオッサンじゃん」
と言って大和さんが握手をしようとしても拒否をした。

「コラッ、蒼空! 大和さんはこれから家族になる人なんだからね」

 私が注意をすると母がフォローを入れてくる。

「ごめんなさいね、大和さん。蒼空はお姉ちゃんっ子で、小さい頃はお姉ちゃんと結婚したいって言ってたくらいの子なの。今風に言うとシスコンって言うのかしらね?」

「良いんですよ、別に。蒼空君からしたら三〇代はオジサンだろうし、お姉ちゃんが取られたみたいで悔しいんでしょうね」

 大和さんはニコニコしながら母と話しているが、内心はどう思っているのだろうか? 母は大和さんに初めて会った時から気に入っていて、父には失礼な話なのだが『お父さんの若い頃より素敵だわ!』とついつい本音を漏らしていた。

 学歴、会社での地位、高身長に顔立ちも品性も良く、全てがパーフェクトな大和さんを気に入らない女性なんていない程に私には勿体のない人なのだ。
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