失恋したら、別の幸せが待っていました!~憧れの部長と溺愛婚
 彼氏が予約してくれたレストランで待ち合わせなので、先に入店して座って待っていた。すると、予想だにしない展開が待っていた。

「美月、紹介するな。こちら、婚約者の麻央(まお)だ。麻央にはお前のことも話してある」

 彼氏の(しょう)が私よりも年下のような可愛い彼女を連れて来たのだ。婚約者とは、どういうことなのだろうか? 私には理解が出来ず、頭の中がフリーズしてしまう。

「初めまして、美月さん。美月さんは幼なじみだと聞いてます。私とも仲良くしてくださると嬉しいです」

 私は何も答えられず、ただひたすらに絶望感に包まれている。そもそも、私たちは付き合ってなかったの?

「麻央のお腹には小さな命が宿っている。なぁ、麻央?」

 二人が椅子に腰掛けると、突然として翔はそんなことを言ってくる。

「そうなんです。妊娠三ヶ月なの。安定期に入ったら式を挙げようかなって話してて。美月さんも結婚式にいらしてくださいね」

 可愛い顔をしてくすくすと笑う婚約者だと名乗る彼女は、さらっとした口調で私に言うけれど……心の奥底では、どこか勝ち誇ったような感情がある気がしている。

 幼なじみの翔は私とは別の大企業に勤め、出世まっしぐらだから。私も大企業に勤めているとはいえ、人員削減の時がきた場合はリストラ対象まっしぐらだろうから、そもそもの出来が違ってた。

 翔は一歳年上の幼なじみでもあり、私は中学生時代から交際していると思っていたのだが、どうやら違っていたらしい。私は会社のお荷物的存在なのだから、麻央さんのような綺麗で可憐なイメージのある女性が彼氏にはお似合いだ。

「翔、麻央さん、お幸せにね。私はここで失礼します……!」
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