失恋したら、別の幸せが待っていました!~憧れの部長と溺愛婚
「蒼空も大和さんとお姉ちゃんみたいな一流企業に就職できたら良いわね。お姉ちゃんが何で一流企業に受かったのか、私には驚きだったけど」

 母はクスクスと笑って居るから、私は「もうっ、受かったから働いてるんでしょ!」って言って、少し頬を膨らませた。

 確かに成績も優秀でもないし、一流大学出身でもなかった私。自分自身も不思議だったのだけれども、採用されたのだから奇跡が起きたのかもしれない。

「美月の人柄も考慮されたのではないですか? 成績だけが良かったり、一流大学出身でも、人との付き合いが苦手だったり、生きていく上での常識がない人との差は歴然ですよね。会社が上手く見抜いた存在なのでしょう」

 決して優秀ではない私だが、大和さんにこんな風に思われてるなんて思ってもみなくて心が暖かくなって、ますます大好きになる。

「……っるさいなぁ、俺は東京では働かない。友達と離れ離れにもなりたくないし、地元も嫌いじゃないし」

 ボソボソとそっぽを向きながら話をする蒼空は、何だか不貞腐れているようだった。よほど大和さんを敵視しているのか、目線を合わせようともしない。

 父に至っては、どこに行ってしまっているのか見当たらない。雑談をしていると大和さんのご両親が現われて、両家の御対面となった。

 挨拶をしたり、社交辞令のような会話を続けている内に顔合わせの会食の会場へと案内された。披露宴に使いたいと思っているホテル候補で、両家がサービスと料理に満足すれば決めてしまおうと思っている。

 和洋折衷の会食料理を予約していて、披露宴に向けての味見も兼ねていた。
< 40 / 50 >

この作品をシェア

pagetop