失恋したら、別の幸せが待っていました!~憧れの部長と溺愛婚
「樋川さんは食品会社で働いているとか……」

「そうなんですよ、本社勤務なんです」

 父親同士で会話する中、父が働いている会社の食品のCMを大和さんのお父様が作ったという話題になり、楽しそうな二人のやり取りを聞いている。

 母親同士に至っては、ガーデニングの話で盛り上がり、更にはお気に入りの俳優陣の話題を話したりしていて、打ち解けている様子だった。蒼空はと言えば、何も発さずに黙々と料理を食べていた。

 大和さんには姉が一人居るらしいが赤ちゃんが産まれたばかりで、姉夫婦は欠席だった。それから、大和さんは御両親のそれぞれ良い所を持ち合わせている顔立ちだと確信する。

 ご両親の若い頃は美男美女だっただろう、と言う品格と面影が漂っている。

「美月さんの様な可愛くて素敵なお嫁さんが来てくれて嬉しいわ。大和には勿体ないくらいです」

「まぁ、そんな事を言って頂けるなんて光栄だわ。美月はおっちょこちょいだし、料理の腕も底底だから大和さんに申し訳ないです」

 母親同士が話しながら、私達を見る。私はニコニコと笑いかけるしかできなかった。二人のマシンガントークに父同士も怯むくらい、盛り上がっている。

 緊張していた会食はこんなものか? と思う程に和やかな雰囲気なままに終わりを告げた。料理とサービス、場所共に両家の両親も気に入り、披露宴はこのホテルにほぼ決まった。

 結納の日にちや披露宴の日にち、新婚旅行など他にも決めなくてはならない事が目白押し。毎日が忙しくなる予感がする。

「新居は探してるのかしら?」

 ホテルを出る時に大和さんのお母様が疑問に思ったらしく、大和さんが答えた。

「一先ず、引っ越そうとは思ってる。子供ができても良いように広めのマンションを購入するか、一軒家を購入しても良いかな? とは考えてる」

「そう。主要駅から離れたら手頃で良い物件もあるんじゃないかしら? 私達も探してみるからね」

「お願いします」
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