失恋したら、別の幸せが待っていました!~憧れの部長と溺愛婚
 オーナーの説明を聞き、ワインの香りを楽しみながら余韻に浸る。お酒はわりかし好きなので、差し出されると躊躇うことなく口に含んでしまう。

 フランスのボージョレーヌーボーよりもひと足早く解禁し、秋の訪れを感じられるイタリアの新酒は「ノヴェッロワイン」と言うらしい。オーナーの祖父が経営するイタリアのワイナリーから直輸入しているそうだ。目の前にいる部長も美味しそうに飲み干している。

「二人とも、ゆっくりしていってね」

 部長と私のグラスにおかわりを注いだ後、オーナーは去って行った。オーナーは気さくな方で、初めて来店した時から親しくしてもらっている。

 イタリア人の祖父を持つオーナーはクォーターであり、顔立ちがハッキリとしている高身長イケメンで女性に人気がある。オーナーファンの女性客も多く、オーナー目当てで来店する方々も多々居るらしい。

「樋川、今日は三島がキツいことを言ってごめんな」

「ん? ……らいひょうぶ、でふよ」

 お酒は好きだが、あまり強くない私は酔いが回ってきたようだ。舌っ足らずな話し方になってしまう。

 ワインは好きなんだけれど、三杯目はちょっとキツかったかな?
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