失恋したら、別の幸せが待っていました!~憧れの部長と溺愛婚

「樋川、起きて!」

「……ん?」

 目が覚めると見知らぬの部屋のベッドの上だった。

「おはよ。二日酔い大丈夫?」

「わぁっ、あっ、えと……」

 ゆっくりと身体を起こすと部長が水のペットボトルを手渡してくれた。

「大丈夫です。頭も痛くないし、気持ち悪くもないです」

 頭がパニックになりそうになりながらも、前日の夜のことを思い出す。ワインを飲んでデザートを少しだけ食べてからの記憶が薄れているが、タクシーに乗って降りてからはお姫様抱っこをされた迄の記憶はある。しかし、その先は思い出せない。

 思い出せないと言うことと昨日の服のままだということから、私はただ酔って寝てしまったのだろうと解釈した。

「樋川が美味しそうにワインを飲んでいたから油断したよ。三杯目は飲ませるべきじゃなかったね」

「すみません……! 私もついついはしゃいでしまいました!」

 私は二日酔いになると言うよりも、お酒を飲むと眠気が急に襲って来るのだ。ワインも美味しいし、オーナーさんにも会えたし、振られたばかりなのに憧れの部長との偶然の出会いに胸が踊っていて、ついつい限界を超えてしまっていたようだった。
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