親に搾取されてきたJKが、偏屈先生と出会って溺愛されるまで
「そういや胡桃くん、学校の話をしないな。どうなんだい」

 夢望先生に聞かれたくない事を聞かれました。楽しくない話題ですし、多分素直に答えても夢望先生が困るだけです。
 けれど、嘘はつきたくないので真実を言う事にしました。私と夢望先生の間に、少しでも障壁があって欲しくないと思ったからです。

「クラスのマドンナに目を付けられているのでよくハブられています」
「ほう、村八分か」
「なんですかそれは」
「お前は一人ぼっちで可哀想な奴という事だよ」
「酷い」

 やっぱ嘘つくべきだったかな、夢望先生意地悪だし。そう頬を膨らませながらご飯を盛った茶碗を出すと、夢望先生はくつくつと笑いながら受け取りました。

「酷いか」
「とても」
「言うようになったな」

 その後、ぽんぽんと。
 私の頭を、労うように撫でました。

「それでいい、跳ねっ返りは好きだ。ただのマヌケは好かんがな」
「マヌケとマヌケじゃない奴の違いは?」
「ふむ……」夢望先生は顎を擦りながら考える素振りを見せました。「お前は俺と過ごしていて楽しいか?」
「とっても」
「何故? 俺はうるさいしワガママだし人を振り回す。胡桃くんの事だって下僕扱いだ。それなのに、どうして?」
「楽しいのに理由が必要なんですか?」
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