親に搾取されてきたJKが、偏屈先生と出会って溺愛されるまで
「私の親、どうでした?」

 優馬さんの隣を歩きながら、私はなんとなしに尋ねた。

「自分達以外全員頭が悪いと思っている癖に、それ以上の権威を振りかざされると怯える日和見主義のマヌケ共だ。搾取の証拠なんて山ほどあるのに、子を制御出来てると思い込んでるのが哀れだな」

 そうですか、と言った後、私は優馬さんと黙って歩く。
 おかしいな、凄く清々してるのに。
 ざまあみろって、開放感と共に強く思ってるのに……何故か。

「言語化しなくていい」

 ぽん、と。

「胡桃くんは一人じゃない……これからは、俺がいる」

 頭を、撫でてくれた。
 出会った頃から変わらない、優しい手つきで。

「ところで、卒業はいつだ?」
「あ、一ヶ月後……です」
「一ヶ月。そうか、ふふ……」

 私はその時、初めて。

「待ちきれないが、今はまだ、ゆっくり……そうだな、晩御飯でも楽しみにしようかな」

 人間はきっと、幸せになるように設計されてるんだと思えた。
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