親に搾取されてきたJKが、偏屈先生と出会って溺愛されるまで
 後ろの扉が音を立てて開き、外の風が玄関の埃っぽい香りを際立たせました。お父さんの低い声は私の後ろから、頭の上を通ります。

「胡桃がね、進学出来ないって」

 お母さんの冷たい声が伝播したのか、お父さんは靴先で私の脇腹を小石にするかのように軽く小突いた後、こう言いました。

「犬飼ってた方がよっぽどストレス無かったなあ……」

 私は涙が声に混ざるのを抑えながら「ごめんなさい」と言いました。
 そろそろ晩御飯の時間で、お腹が空いたなぁ。
 なんて、勿論言える空気じゃありません。必死にお腹に力を入れて我慢しながら、私は頬を流れる涙を舐めて床が汚れないようにしました。
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