【完結】結末のないモブキャラは仕方がないので自身の恋物語に終止符を打つことにしました

第６話 勇者と名もなき乙女

　幼い頃からテオが大好きだった。

　別世界の人間のように人気者のテオと地味で取り柄もない仕立て屋の娘のわたし。

　傍から見たらずいぶん不釣り合いな関係だとは思うけど、親が忙しい者同士、生まれたときから一緒にいて、家族同然でともに過ごしていた。

　そのため、わたしたちはこれからもずっと隣りにいるものだと信じて疑わなかった。

　わたしはテオのことが大好きで大好きで仕方がなかったし、改めてテオから聞いたことはなかったけど、彼だっていつかはわたしを選んでくれるものなのだと幼心に思っていた。

　そう。

　あの日までは。