エリート御曹司は失恋した部下を溺愛したい

最初の頃は、二人きりで会うことに違和感があったけど、デートでいろんな場所に行ったり、それなりに楽しく過ごしていた。
でも、流されるように身体を許してから二人の関係にヒビが入り始めた。

初めてそういう雰囲気になり、私の身体はガチガチに緊張していた。
だけど、幹也はそのことに気づくことなく強引に行為に及んだ。

幹也は自分が私の初めての彼氏だということを知っていたはず。
それなのに、おざなりに私に触れて自分が気持ちよくなったら終わり。
私の初体験はただ痛いだけで、気持ちよさの欠片もなかった。

その日から幹也に触れられると自然と身体が強張るようになった。
私にも悪い部分はあったと思うけど、もう少し寄り添って欲しかった。

次第に幹也は仕事が忙しいと言って会わなくなり、決定的な言葉はなく放置された。
普通にデートだけなら楽しかったけど、向こうにとってはセックスしても反応の悪い私は用済みだったんだろう。

「私って女としての魅力がないのかな……」

思わず本音が漏れた。

一応、幹也と別れたと飲み会を主催した友達に言うと『やっぱりか』という返事。
彼女は私と幹也が付き合いだして少し経った頃から飲み会のメンバーで集まることがなくなったのでおかしいなと思っていたみたい。

友達が久しぶりにそのグループのトーク画面を開くと男性陣はみんな退会していたことが判明。
結局、男性陣は出会い目的だったんだろう。
私一人がその罠に引っ掛かってしまった。
何事も経験だとはいうけど、こんな経験は必要なかった。
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