エリート御曹司は失恋した部下を溺愛したい

「えー、まだ飲み足りないのにぃ」
「いやいや、もう十分でしょ。あんた、飲みすぎたら寝ちゃうから面倒なんだよ。しかも、寝たらなかなか起きないし。私、このあと二次会に行くんだから。絶対に琴葉の介抱なんて嫌だからね」
「今日って私を励ます会でしょ」

酷い言われようだと頬を膨らませる。

「散々励ましたでしょ!お酒は終わり」

ピシャリと望に言われ、私は久住部長が置いてくれたウーロン茶のグラスに口をつけた。
ん?
このウーロン茶ってアルコール入ってない?
きっと店員が持ってきたときに間違えたんだろう。
なんとなく罪悪感があり、望や久住部長を見たけど気づいていないみたいだ。
わざわざこれはウーロンハイでしたと言う必要もないかと思い、黙ってそれを飲み続けた。


私の励ます会も終わり、それぞれ席を立って移動し始めた。

「ほら、行くよ琴葉」
「……うん」

望に腕を掴まれ、目を擦りながらフラリと立ち上がり座敷を出る。

ヤバイな、今日は自分のキャパ以上にお酒を飲んだ気がする。
眠くなってきた。

「しっかり目を開けてシャキッと歩く!」
「んー?目は開いてるし、ちゃんとあるいてるよ-」
「そんな薄目で開いてるって言わないで。絶対に見えてないでしょ。もー、フラフラして足元がおぼつかないのよ。もっと早い段階で止めるべきだったわ」

望は文句を言いながら深いため息をついている。
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