エリート御曹司は失恋した部下を溺愛したい

突然のことに頭が上手く働かない。

久住部長と私がキス?
え、本当に?

これは夢を見ているのかもしれない。
普通に考えたら久住部長が私にキスをするはずがない。
きっと、元カレに振られた可哀想な私にあり得ない夢を見せてくれているんだろう。
久住部長は重ねていた唇を離し、私を見つめる。

『嫌じゃなかった?』

そう問われ、私はコクリと頷く。
全然嫌ではなかった。
寧ろ気持ちよかったし、人の唇ってこんなに柔らかかったんだなと再確認していた。

『もっと触れてもいい?』

その言葉の意味が分からない訳ではない。
キスだけでも気持ちよかったのに、直接触られたらどうなってしまうんだろう。
夢なら何も失うものはない。
私は返事の代わりに久住部長の唇に自分からキスをした。

『……っ、それは反則だろ』

そう口にした久住部長にゆっくりとベッドに押し倒され、上から私を見下ろす。
 
『君を振るなんて元カレも馬鹿だな。こんなにも魅力的なのに』

私の唇にキスの雨が降り注いだ。
唇に触れる久住部長の優しい温もりが、私の奥底に眠っていた女の部分を呼び起こす。
彼のキスに必死で応え、気が付けばもっととねだるように久住部長を求めていた。
そんな私を見て何度も『可愛い』と言って目を細めた。

久住部長は手や唇、舌で私の身体を余すとこなく愛撫する。
敏感な部分を舌で舐められ羞恥に悶えながら、あられもない声を上げていた。
身体の奥から蜜がとめどなく溢れるという初めての感覚を味わった。
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