エリート御曹司は失恋した部下を溺愛したい

「ちょっと待て。美人モデル?それって俺が大学の頃?」
「はい」
「アイツ……訂正させてもらうと、付き合っているふりをしていた」
「えっ、フリですか?」
「ああ。大学に入ってガラリと環境が変わり、女性に声をかけられることが多くなったんだ。それに煩わしさを感じていた時、その幼なじみもモデルを始めてストーカー被害に遭っていると言ってきて、付き合っているふりをしてくれないかと頼まれたんだ。面倒ごとを避けれるという安易な考えてそれを了承したんだ」

それなら私が諦める必要はなかったのかな。
とはいっても久住部長はモテるから諦めてなかったとしても、七歳も年下の私は相手にされなかっただろう。
あの時の胸の痛みがあるから今があるんだ。
ちょっと気持ちが迷子になって間違った選択をしたこともあったけど、結局は初恋の人にたどり着く運命だったのかな。

「じゃあ、今は彼女は」
「いるわけないだろ。俺は琴葉のことが好きだと言っているし、他に彼女がいたら琴葉を抱いてない。俺、そんな不誠実な男に見える?」

そう問われ、私は首を左右に振った。
彼の誠実さはよく知っている。

「じゃあ、私は恭二くんのことをもう一度好きになってもいいですか?」
「当たり前だろ。むしろ、好きになってもらわないと困る」

あえて久住部長とは言わずに名前で呼ぶと、嬉しそうに笑って私の頬を優しく撫でた。
そして、私たちはどちらからともなく唇を重ねていた。

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