エリート御曹司は失恋した部下を溺愛したい
他にも登録者がたくさんいるようなインフルエンサーの影響力は凄い。
SNSで『面白い』と発信すれば、一気に人気に火が付く。
それに、うちの会社の玩具を使って遊んでいる動画をネットにあげている人気クリエーターも多く、そこから大ヒット商品に繋がることがある。

「特に正体隠匿系のゲームは大人数で盛り上がれて人気ですね」
「なるほど。確かに、ここ一ヶ月はかなり数字が伸びているな」

久住部長はパラパラと資料をめくって目を通す。

「いつも見やすい資料をありがとう」
「いえ、とんでもないです。失礼します」

軽く頭を下げ、自分の席へ戻った。

頼まれていた売上推移表の作成をしていたこともあり、大下玩具の電話を受けた時には定時を過ぎていた。
このまま片づけをして帰ろうかと思ったけど、そろそろ月末なので伝票の入力作業をしておくことにした。
特に何もないとは思うけど、なにか不測の事態があったときに対応できないと困る。
出来る時にやっておこうと考え、もう少し残業することにした。

そして、今日の業務が終わったころには夜の七時前、営業フロアには数人ぐらいしか残っていなかった。
そろそろ帰り支度を始めようとしたとき、ブルッとスマホが震えてメッセージが届いた。

【お疲れ様。この後、予定がないなら晩飯食べに行かないか?】

久住部長からだった。
チラリと視線を向けると久住部長と目が合い、一瞬だけ口元に笑みを浮かべたと思ったらすぐさま元の表情に戻った。
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