エリート御曹司は失恋した部下を溺愛したい
えっ、なに今の顔!
仕事中、久住部長があんな顔をするのを初めて見た。
私はドキドキしながら返信した。

【お疲れ様です。特に予定はないので行きたいです!】
【了解。俺はあと二十分ぐらいかかるから、どこかで時間潰してもらえたら助かる】
【分かりました。会社近くのコーヒーショップで待ってます】

思いがけず、久住部長と一緒にご飯が食べれることになり、私は速攻で片づけを済ませて会社のビルを出た。

少し浮かれ気分で軽い足取りで歩いていた。
金曜の夜、しかも残業になったので適当にコンビニで晩御飯を買って済ませようと思っていた。
今日はいつもより疲れたので、料理をする気分にはなれなかったからだ。

横断歩道を渡ってコーヒーショップに向かえば、すでに久住部長の車が駐車場に止まっていた。
どうやら、仕事を終わらせた久住部長の車に抜かされたみたいだった。

そして、久住部長の車が向かった先は三十六階建ての『桜庭テラスタワー』という高層ビル。
五階までの低層階にはショップやカフェ、レストランやクリニックなどが入り、その上の階から二十階までがオフィスエリアになっていて、二十一階から上がホテルとなっている。
アフタヌーンティーで有名なカフェには何度か来たことがあった。

「あれ?恭二じゃない」
 
地下駐車場に車を止め、専用エレベーターに乗り込むために久住部長と並んで歩いていたら前方から綺麗な女性の人が声をかけてきた。
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