エリート御曹司は失恋した部下を溺愛したい
「琴葉、お願いだから顔を見せて」
恭二くんの懇願する言葉に、顔を覆っていた手をゆっくりと外す。
すると、優しく微笑む恭二くんと目が合った。
「ヤバイな、琴葉が可愛すぎる。こんなことを言うと信じてもらえないかもしれないけど、俺は琴葉以外とキスしたことないよ」
「それは嘘……」
「本当だよ。今までキスしたいなんて思ったことがなかったんだ」
真面目な顔で言う恭二くんを見て、それが嘘でも気持ちが軽くなった。
我ながら単純だなと思うけど。
お互い、元カレ元カノに嫉妬しているなんて笑える話だ。
過去は変えられないけど、恭二くんとこれからの未来を紡いでいけばいい。
「琴葉、好きだよ。俺はもう、琴葉なしではいられない。誰よりも愛している」
甘く囁かれて鼓動が高鳴る。
「私も恭二くんのことが好き……」
「悪いけど、もう琴葉を逃がしてあげれないけど、俺にこの先ずっと愛される覚悟は出来てる?」
この先ずっとなんてプロポーズみたいだけど、そんなの願ったり叶ったりだ。
諦めていた期間もあったけど、だてに恭二くんのことを一途に思い続けていたわけじゃない。
「そんなことを言ったら一生、私は恭二くんから離れないけどそれでもいいの?」
「いいに決まってる。じゃあ、今日はたっぷり俺の愛を感じてもらわないとね」
いきなり抱き上げられ、驚いた私は身体をバタつかせてしまった。
「ちょっ、」
「琴葉、危ないから暴れないで」
窘められ、動きを止めた。