エリート御曹司は失恋した部下を溺愛したい

あれから三条の娘は見かけていないので、諦めたんだろう。

「……んっ、」

ベッドの上で寝返りを打ち、目を閉じたまま俺にすり寄る琴葉を抱きしめた。

お互いに気持ちが通じ合い、多少浮かれていたのは否めない。

なにが『女として魅力がない』だ。
俺の愛撫に敏感に反応し、恥じらいながらも乱れる姿はどうしようもなく劣情を煽り、本能のまま何度も琴葉を抱いた。

白く滑らかな琴葉の肌には所有の証が刻まれていた。
今までこんなことはしたことがなかったのに、と自分に呆れながらその証を指でなぞった。

信用されていなかったが、キスをしたのも琴葉が初めてだった。
今までにキスをしたいと思うことが本当になかったんだ。
口紅やグロスをベトベトに塗った唇に誰がキスしたいと思うだろう。
琴葉の唇は血色のいいピンク色で、何度も夢中になってキスをしていた。

今まで何人かの女性と付き合ったけど、仕事優先だったこともあり、割と早い段階で別れを告げられることが多くて長続きはしなかった。
相手と同じ熱量で付き合うことが出来ず、自分はドライな人間なんだと思っていたので、ここ何年も恋人という存在はいない。

だけど、琴葉と再会してからは驚くぐらい考えが百八十度変わった。

琴葉のそばにいたいし、甘やかしたい。
彼女のことを傷つけた元カレには腹が立って仕方がなかった。
俺なら誰よりも大切にする。

「好きだよ、琴葉」

額にキスし、愛おしい存在を胸に抱いたまま眠りについた。

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