エリート御曹司は失恋した部下を溺愛したい

食堂の入口にあるガラスケースの中の食品サンプルがリアル過ぎて、実物そっくりだ。
なんなら、実物よりも美味しそうに見える。
お弁当を持ってこない日はアレコレ目移りしてしまうほど食欲をそそられる。

望は注文したカルボナーラをフォークでクルクルと巻きながら口を開く。

「そうそう、最近ジムに入会したんだ」
「前に一緒に行こうって誘ってきたところ?」

二週間ぐらい前に誘われたけど、興味がなかったので申し訳ないけど断った。
誘ってくれたのがジムではなく、料理教室とかだったら行ったと思うけど。

「うん。一度、体験に行ってみたけど雰囲気も良かったし、インストラクターがみんな女性だから気軽に相談できたりするしね。なにより二十四時間営業っていうのがポイント高いわ。好きな時に行けるから」

望は学生時代はバレー部でバリバリの体育会系だ。
私はピアノを習っていたので球技とか突き指するのが嫌だったので運動部は除外。
文化部も特に入りたい部活はなかったので帰宅部だった。

「琴葉ってあまり運動神経よさそうじゃないよね」
「は?悪いけど人並みに運動は出来るよ」

急な悪口に眉間にシワを寄せながら反論したけど、それは昔からよく言われていた。
私は色白で華奢だから、第一印象はおとなしそうに見える。
だからよく運動が出来なそうとか運動神経が悪そうに思われる。
実際は運動は嫌いじゃないし、やれば人並みには出来る。
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