エリート御曹司は失恋した部下を溺愛したい


営業部は第一と第二に分かれていて、私と望は第二営業部で働いている。
そして、今この居酒屋にいるメンバーも第二営業部の人たちだ。
第一営業部の部長は五十代のベテランの男性で、第二が三十二歳の久住部長。
そして、彼はこの会社の『ジョイントイ』の御曹司だ。

第二営業部は比較的若手が多い。
久住部長は若くしてそのポジションに就いたが、それは社長の息子という理由だけではない。

入社した当初は、少なからず色眼鏡で久住部長のことを見ていた人もいたと聞いている。
だけど、彼が入社して数年後には営業成績はトップに躍り出た。
そこからは本来持っていた実力をいかんなく発揮し、常に上位をキープして周囲の期待以上の結果を残した。
久住部長は自分の実力で周りの雑音をねじ伏せたんだ。
 
常に冷静沈着、仕事に妥協は許さない自分にも他人にも厳しい人で近寄りがたい雰囲気はある。
だけど、人望が厚くて人として尊敬できる人だ。

家柄よし、仕事も出来てイケメンで優良物件。
御曹司の久住部長に、浮わついた話や彼女や婚約者がいるという話は一切聞かない。
お見合いの話が出てもすべて断っているらしい。

そんな彼がいまだに独身だから周りの女性は放っておかない。
社内外の女性たちが告白を試みるもすべて玉砕というのは有名な話だ。
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