エリート御曹司は失恋した部下を溺愛したい
「おはよう、恭二くん」

週末、恭二くんが私の住んでいるマンションまで車で迎えに来てくれた。
駐車場には黒のSUVが止まっていて、私は助手席に乗り込みシートベルトを締めた。

今日はアイボリーのシャツワンピースにカーキのカーディガンを羽織り、耳にはしずく型のピアスを付けて靴は歩きやすいスニーカーにした。

「おはよ。今日も可愛い恰好をしているね。琴葉によく似合ってる」
「あ、ありがとう」

サラリと褒めてくれるのはいいけど、なんだか照れくさい。
付き合い始めてから分かったことだけど、プライベートの恭二くんは本当に甘すぎる。
優しい人だというのは知っていたけど、最近は私をとことん甘やかし、大切にしてくれる。
仕事の時はクールなのに、プライベートでは溺愛彼氏というギャップに胸キュンが止まらない。

絶賛、胸キュン中の私は気づかれないように運転している恭二くんを観察する。

恭二くんは黒のTシャツにジャケットを羽織り、濃紺のデニムを穿いていて何を着ても様になる。
横顔も整っているし、ハンドルを握る骨ばった手が色っぽい。
あの手が私に触れたんだよな、なんて思ったら変に意識してドキドキしてしまう。

「琴葉、何か俺に言いたいことがある?」
「えっ」
「さっきからずっと視線を感じるから」

邪なことを考えながら見ていたからバレたんだろうか。
下手に誤魔化しても墓穴を掘りそうだったので正直に話した。
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