海月

2.殺人現場

『「ねぇ」
 「…」
 「聞いてる? 呼んでんだけど」
 「ッ… な、何ですか…」
 「君、ゆずはちゃんだよね」
 「ち、違います」
 「分かってんだよ嘘つくなよ」
 「ッ…はい…」
 「なあお前さウザいんだけど何で生きてんだよ目障り死ね」
  女の人… 怖い…
 「お前こっから落ちて死ねば? 私が落としてあげてもいいけどw」
  何この人…
 「早く死ね」
 「じゃあねw 来世はマシな人になれるといいねw さよなら」
  はあ僕死ぬんだ
  楽になれるならいっか
 「…⁈」
  背中に大きな衝撃が走った
  やっと分かった自分は落とされたんだって』
「ッ!」
「夢…か…」
「⁈ あっ…」
 僕殺されかけたんだ…
 夢でよかった… でも、夢でよかったのかな死んだ…方が良いかな
 それにしてもここ片付けないとな
 コンコン
「ゆずはー?」
「起きてるー? 開けるよー」
「ッ…だ、だめ…!」
「… 朝ごはんするから早く降りてきー」
「う、うん」
 お母さんにバレたかな…
 片付けんと次こそバレるな…
         :
「おはよ…」
「おはよー! ゆずは…大丈夫?」
「え…?」
「顔色悪いよ…? 今日、学校休み…?」
「学校…行くよ…行ける…から」
「そう、? 無理したらだめやで」
「うん」
 ほんとは学校行きたくないけど
 行かないと…きっとッ
「ッハァハァハァ…」
「くす、り…」
 バタン
『《きもいまぢ死ねなんで生きてるん意味わからん》《死ね》《きっしょ》《ぶすすぎてw》』
 誰も助けてくれないんだ、w
 期待してた僕が悪かったw
 DMが数人のアンチでうまってく
 なんか生きてる意味が分かんなくなって
 また無性に切りたくなった
 もう僕の腕も心も全部が壊れてしまって
 誰にも助けを求めれなくなった
 血だらけの部屋をまた汚す
 一回切ったらやめられなくて
 〈暇になったら切る〉
 が続いていた
 「痛くない、?」僕が自傷行為をしていることが友達にバレたとき聞かれた
 もちろん痛い
 けど、DMで、学校で、ずっと死ねと言われ続けている自分には戒めが必要だと思う
 だから何を言われようが
 ”傷つける”
 自分がみんなに認めてもらえるまで
 壊れ続ける

 学校に行く といったくせに
 学校にも行かずに切り続けて
 僕の部屋は殺人現場のようになった
 床と壁についた血がきれいな鮮紅色をしていた
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