キスってなに?魔女の恋愛論・オルロフとエリーゼ・魔法の恋の行方シリーズ1
キスってなに?魔女の恋愛論
魔法の恋の行方シリーズ1・オルロフとエリーゼ(改訂版)

<湖のほとり・秋・15時>

オルロフは道に迷っていた。

いつの間にか道をはずれ、深い森に迷い込んでしまったのだ。
このへんはちょうど、グスタフ皇国と魔女の国との境目にあたるはず。

魔女の国に許可なく入り込むと、豚や牛、鶏に姿を変えられるとみんなが言う。

「本当かどうかわからないが・・」
魔女の国に入り込むと、二度と出られないとも言われる。

異界。

魔女が恐れられているのは確かで、その強大な魔力は、いろいろな国でも噂になっている。

「陽が暮れる前に、何とか道を見つけなければ」
オルロフは太陽の位置で方向を定めようと、空を見上げた。

その時、空中にキラリと光るものが飛び、放物線を描いて落ちた。

「あれは、なんだ?」

オルロフは、好奇心にかられ、光の落ちた方向に進んだ。
木々の隙間から見えるのは大きな湖。

秋風が滑るように湖面をざわめかす中、黒い影が湖に入って行くのが見えた。

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