キスってなに?魔女の恋愛論・オルロフとエリーゼ・魔法の恋の行方シリーズ1

湖のほとりの小屋・18時30分

<湖の畔の小屋・18時30分>

外はとっぷりと暗闇に覆われて、木々の影が空に濃く広がっている。
妖精はランタンの明かりを灯した。

「ああ、夢中で話していたら・・暗くなっちゃった。どうしよう」
妖精は、少し不安気に言った。

「もう少し俺は、君の国の話を聞きたいな。とてもおもしろい。
いろいろな国をまわったが、一番ヘンテコだ」

オルロフは笑いながら、ランタンに照らされている妖精を見つめた。

この妖精は、本当にかわいらしい。
ちょっと変だけど、そこも魅力的だ。

「私も・・こんなにグスタフの人と喋ったのは初めてだわ。
遠くで見たことはあったけど。あなたがうらやましい。
ああ、私もいろいろな所に、自由に行ってみたい」

妖精はテーブルに頬杖をついて、グラスの縁を指先でなぞった。

オルロフは思った。
この妖精の笑顔が見られるなら・・どんな事だって・・・

「君さえよければ、俺が連れて行くよ。美しい場所もたくさん知っている」

妖精がチロリと視線を向けた。
「本当に?」
「誓うよ」

妖精の関心を惹きつけることに成功したので、オルロフは続けた。

「それに君の気持ちもわかる。
全然知らない相手と・・つまり・・
交尾をしなくてはならないなんて、俺だって嫌だ。
義務っていうのがおかしいよ」

「・・・あなたっていい人ね」

妖精は、花がほころぶように微笑みを見せた。

本当にきれいだ。
彼女のまわりで、光が乱舞しているように見える。
金の髪がろうそくの明かりで、きらきら宝石のように輝く。

オルロフはうっとりと見とれた。


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