キスってなに?魔女の恋愛論・オルロフとエリーゼ・魔法の恋の行方シリーズ1
オルロフは椅子から立ち上がり、壁に背を向けて立った。
「ハグは普通立ってすることが多い。
エリーゼ、ここに立ってみて」
オルロフは距離を詰めて、エリーゼと向き合った。
「君は少し手を広げてくれればいい」
妖精は指示された通り、腕を上げた。
オルロフは一歩前に出た。
そっと、本当にそっと妖精を抱き寄せる。
妖精は花の香りではなく、甘いバニラの香りがした。
食べてしまいたいほどに・・・甘い。
「力を抜いて、俺に寄りかかってくれ・・・」
オルロフは、妖精の耳元でささやいた。
妖精の手が、背中に軽く触れたのに気が付いた。
少し寄りかかってくれている。
オルロフは自分の心と闘っていた。強く抱きしめたい。
「あなたは温かいのね。ちょっと薬草の匂いがする」
妖精は自分の腕の中にいる。
だめだ、あせるな。時間はまだある。