キスってなに?魔女の恋愛論・オルロフとエリーゼ・魔法の恋の行方シリーズ1
「俺たちの国では、付き合うと、
二人で一緒に食事をしたり、遊んだり、たまには、こうやって酒を飲んだりもする。
それはとても楽しいんだ。
それをデートって言っている」

オルロフはそう言って、目の前に自分のグラスを掲げた。

グラスの向こうに、妖精がどしゃぶりの雨のなかにいるように、ゆがんで見える。

「それで、ある程度親しくなったら、ハグして、お互いどんな感じか、確認作業をするわけだ。
もし、そこで、「やっぱり違うな」って思ったらやめればいいし」

「確認作業?」
妖精は小首を傾げた。

「最初はモチロン、挨拶のハグだよ。
でも、もうちょっと親しくなりたいなって思ったら・・・」

オルロフの脳内会議では、熱い議論が飛びかっている。

この妖精をオトす、自分のものにするにはどうしたらいいのか。

脳内メンバーは口角に泡を吹き、槍や剣を掲げて、雄たけびを上げている状態だ。

オルロフはあえて、冷静である自分をアピールするように、方向を定めた。

「実際に練習というか、確認作業手順を体験してみる、っていうのはどうかな?」

狡猾な提案だが、もう退却はできないと考えていた。

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