キスってなに?魔女の恋愛論・オルロフとエリーゼ・魔法の恋の行方シリーズ1
「そう、二人だけの共通体験が大事なんだ。嫌ならすぐにNOと言えばいいし」

妖精は親指を口にあてて、考え中だ。

ここからは、ガンガン押していくしかない。
考える時間を与えてはいけない。

「恋人のハグはできるだけお互いの体を、密着させるのが定番だ」

オルロフは、妖精の手首をぐっと握った。

「ます俺の膝に座ってみて」

そのまま引っ張ると、妖精はオルロフの膝にストンと収まった。

だが、小さな木の丸椅子に座っているようで、落ち着かない。
酔っているのもあるのだろう、体が微妙に揺れている。

「もっと、俺によりかかってくれ。君も疲れるだろう?」

オルロフの下心が春の芽吹きを迎えた草のように、
ここぞとばかりに、ぐんぐんと生えてくる。

「それに恋人とは、裸でハグするのが普通なんだ」

「はぁ~、裸なんて風邪をひいちゃうじゃない!」

目を見開いた妖精は、正論を吐いて、オルロフを見上げた。

「そ、そ、そうだね。今日は練習だからね。そこまでしなくてもいいけど」

狼狽したオルロフは少し天井を仰ぎ、気持ちを落ち着けた。

なにはともあれ、自分の腕の中に、妖精は収まってくれているのだ。

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