キスってなに?魔女の恋愛論・オルロフとエリーゼ・魔法の恋の行方シリーズ1
女の子の寝室。

ロートアイアンで細工された小さなベッドには、白いレースのカバーが掛かっている。
細かい銀の細工が美しい、楕円形の鏡。

その前のチェストには、ピンクの小花が活けてある。
床は毛足の長い白いラグ。

窓にはレースのカーテンと、薄いピンク色のカーテン。
そして、窓際に吊る下がったラベンダーが、微かに香る。

ベッド脇の椅子の背に、薄緑色の裾の長いドレスがひっかかってあった。

「妖精の寝床か・・」

オルロフは微笑んだ。かわいらしい。

「早く!!着替えたら、こっちに来てっ!!」
妖精が、ドアをガンガン叩く。

まったく・・強いな。

オルロフはほうっと息を吐いてから、毛布をかぶり、濡れた衣服を手に持って部屋を出た。

廊下では、妖精が腰に手を当てて、仁王立ちで立っていた。

「暖炉の前に広げて置けば、すぐ乾くから!」
その命令口調に、オルロフは苦笑して従った。

「陽が落ちる前に、出て行ってもらわないと!」

妖精はそう言いながら、戸棚から大きい瓶とグラスを出した。

オルロフは、暖炉脇の椅子に座った。

「君は道がわかるか?実は迷って困っていたんだ」

妖精は瓶からとろりとした薄緑の液体を、慎重にグラスに注いでいる。


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