キスってなに?魔女の恋愛論・オルロフとエリーゼ・魔法の恋の行方シリーズ1
「ああ、そうね。この場所では魔女の力が、何かの弾みで揺らぐことがあるの。
その影響で、道が消えたんだわ」

そう言ってから、グラスをオルロフに差し出した。

「薬草リキュールよ。うちの秘伝のやつ。飲んで!」
やはり、命令口調だ。

グラスを受け取りながら、オルロフは妖精の顔をゆっくり見ることができた。

透き通るような肌とアメジストの瞳は、光の加減で微妙に青く変わる。
金の髪には、銀が混じる。
コーラルピンクの小さい唇。
秘密の小箱に入れておきたいような美しさだ。

オルロフは思った。
グスタフの女は髪が黒く、骨太でがっしりしている。そして無口だ。

この妖精は、まったくそれと異なる。
はかなげに見えるが・・・

「なに・・?!人の顔をじろじろ見てんのよっ!」
妖精がかみついた。

「まったく、グスタフの男は獣と同じって聞いたわ!!」

続けて吐き捨てるように、オルロフをにらんだ。

「1年中発情している!!!!」

オルロフは狼狽《ろうばい》した!
このかわいい妖精の口から・・こんな言葉がでるなんて・・



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