恋を知らない聖剣の乙女は勇者の口づけに甘くほどける。

第7話 初めての快感

「なっ!?」

 つんのめるようにロランの上に倒れ込む。
 汗ばんだ胸板に鼻をぶつけて、アメリは慌てて体を起こそうとした。
 が、そのままがっちりと腕の中に拘束される。

「ちょっと勇者!」

 傷の上に乗り上げて痛くはないのだろうか。それでもロランはアメリを離さない。
 血のにじむ包帯が視界に入って、怖くなったアメリは身をよじらせた。

「わわっ!」

 いきなり寝返りを打ったかと思うと、ロランは抱き枕よろしくアメリを抱え込んだ。
 アメリの胸に顔を埋め、安心したように再び息をつく。

「あの、勇者……?」

 呼びかけるも返答はない。

 ベッドから抜け出そうとすると、ロランがいやいやと頭を振った。
 ブラウスの襟ぐりを押し下げて、鼻先がアメリの胸の谷間に沈んでいく。打ち上げられたマグロのように体がピンと硬直する。

 ロランの長い足が、アメリの素足を絡め取ってきた。手の置き場をどこにやったらいいのか分からなくて、アメリの指先がさまよった。
 その間にもロランの顔はどんどん胸の間にめり込んでいく。
 最奥まで押し入ると、突然ロランの動きがぴたりと止まった。

「え? まさか窒息とかしてないわよね……?」

 あまりにも静かなロランに、慌てて胸元を覗き込む。
 その瞬間、ロランの体がぴくりと跳ねた。胸の谷間に埋まった顔にぐりぐり押されて、アメリは本格的に仰向けに組み敷かれた。

「えっ、あっ、ちょっと待って!」

 大きな手がブラウスのすそを引っ張り上げる。
 熱い掌は背中に滑り込み、脇を抜けて胸へとたどり着いた。

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