恋を知らない聖剣の乙女は勇者の口づけに甘くほどける。
 快楽が頂点で弾け、のけぞったアメリの足がぴんと指先まで伸び切った。
 次にやってきたのは脱力だ。ベッドに体を沈ませて、息が整わないままアメリはぼんやりと薄目を開けた。

 見上げた先、目をつぶったロランが膝立ちをしている。
 横たわったアメリにまたがって。寛げた前から太くて長い棒をそそり立てながら。

「――……っ!」

 アメリも話で聞いたことくらいはあった。しかし生で見るのは人生でこれが初めてのことだ。
 どこか高みを彷徨っていた意識が、一気に覚醒した。

 恐怖で動けないでいると、ロランの両手がアメリの膝裏を掬い上げてくる。蛙のように足を開かされ、固くなった男根がアメリの秘所に突き付けられた。

「ちょっと、勇者。さすがにそれはっ」

 必死に止めようとするも、抑えつけられて体も起こせない。
 そのときアメリはロランの異変に気がついた。

「勇者、もしかして寝ぼけてるの……?」

 相変わらずロランのまぶたは閉じられたままだ。
 試しにひらひらと手を振ってみるが、ロランは眉一つ動かさず、寝息のように静かな呼吸を繰り返すばかりだ。

「うそ、ホントに寝てる……」

 それなのにロランは動きを止める様子はない。
 眠った状態にもかかわらず、確固たる意志をもってアメリの足をさらにグイっと持ち上げた。

 アメリが呆気に取られている中、男根がクロッチをずらして器用に下着の中に入り込んでくる。そのまま狙いを定めると、ロランはぐっと腰を押し付けた。

「いったぁああああああぁいっ」

 今日一番の叫び声を上げ、アメリはロランの顔面を渾身の力で蹴り飛ばした。
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