恋を知らない聖剣の乙女は勇者の口づけに甘くほどける。
快楽の波が一気に高まった。
初めてロランを癒した日と同様に、アメリの意識が真っ白い何かに飲み込まれていく。
あと少し。
その至福が弾ける寸前で、突然すべての刺激がなくなってしまった。
不完全燃焼の状態の中、ぺちぺちとアメリは軽く頬を叩かれた。
「大丈夫か? 聖剣の乙女」
「……ゆうしゃ?」
混乱したままロランを見上げた。
「ああ、もう十分だ」
アメリはまったく十分じゃない。
あと少しだったのに。そんな思いが、火照った体の奥でどうしようもなくくすぶっていた。
抱き起こされて、気づくと乱れた衣服をロランに整えられている。
「あ……えっと……」
「ゆっくりでいい。起きられるようになったら部屋まで送る」
ようやく状況を思い出し、アメリはロランの傷が完全に癒されたのだと理解した。
「明日の出発は正午に遅らせる。それまで君はゆっくり休んでくれ」
「でも……」
「大丈夫だ。理由は俺の体調のせいにしておく」
涙に濡れたままのアメリの頬を、ロランの指がやさしくなぞってくる。
「今日は無理をさせて悪かった」
「慣れてないだけで、別に無理はしていません」
「それを無理と言うんだろう」
視線を逸らすと同時に、大きな手も離される。
後悔が残るその顔を、アメリはぼんやりと見つめていた。
やはりロランはできればアメリに触れたくないのかもしれない。分かっていたはずなのに、それを悲しく思う自分がひどくみじめだった。
「怪我をしないように、これからはもっと気をつける」
「……ありがとうございます。でも」
ロランの聖剣の乙女として、これだけは言っておかなくては。
アメリはそう自分を奮い立たせた。
「怪我をしたときは絶対に隠さないでください」
「ああ、分かった。約束する」
その返事にほっとした。
またロランに触れてもらえる。
そんな邪な思いに、アメリは気づかなかったふりをした。
初めてロランを癒した日と同様に、アメリの意識が真っ白い何かに飲み込まれていく。
あと少し。
その至福が弾ける寸前で、突然すべての刺激がなくなってしまった。
不完全燃焼の状態の中、ぺちぺちとアメリは軽く頬を叩かれた。
「大丈夫か? 聖剣の乙女」
「……ゆうしゃ?」
混乱したままロランを見上げた。
「ああ、もう十分だ」
アメリはまったく十分じゃない。
あと少しだったのに。そんな思いが、火照った体の奥でどうしようもなくくすぶっていた。
抱き起こされて、気づくと乱れた衣服をロランに整えられている。
「あ……えっと……」
「ゆっくりでいい。起きられるようになったら部屋まで送る」
ようやく状況を思い出し、アメリはロランの傷が完全に癒されたのだと理解した。
「明日の出発は正午に遅らせる。それまで君はゆっくり休んでくれ」
「でも……」
「大丈夫だ。理由は俺の体調のせいにしておく」
涙に濡れたままのアメリの頬を、ロランの指がやさしくなぞってくる。
「今日は無理をさせて悪かった」
「慣れてないだけで、別に無理はしていません」
「それを無理と言うんだろう」
視線を逸らすと同時に、大きな手も離される。
後悔が残るその顔を、アメリはぼんやりと見つめていた。
やはりロランはできればアメリに触れたくないのかもしれない。分かっていたはずなのに、それを悲しく思う自分がひどくみじめだった。
「怪我をしないように、これからはもっと気をつける」
「……ありがとうございます。でも」
ロランの聖剣の乙女として、これだけは言っておかなくては。
アメリはそう自分を奮い立たせた。
「怪我をしたときは絶対に隠さないでください」
「ああ、分かった。約束する」
その返事にほっとした。
またロランに触れてもらえる。
そんな邪な思いに、アメリは気づかなかったふりをした。