恋を知らない聖剣の乙女は勇者の口づけに甘くほどける。
気づけばロランの腕の中に、ぐったりと身を預けていた。
寝間着もとうに整えられていて、空は少しずつ白みかけている。
「ご、ごめんなさいっ」
慌てて身を起こした。
今から横になっても、大した時間は眠れないはずだ。
「いや、大丈夫だ。今日も出発を遅らせよう」
頷いてふらつきながら立ちあがると、アメリが座らせられていた机が目に入った。
一瞬、ロランにされた恥ずかしい場面がよぎったが、それよりも衝撃的な事実にアメリは叫び声を上げた。
「きゃあっ、机にシミがっ!」
明らかに最初にはなかった黒いシミが、まるで水をこぼしたかのように広がっている。
したたり落ちたような跡もあって、その下の床も同じようなシミを作っていた。
「いやぁあああっ」
どう考えてもそれはアメリが零した体液だ。
そこら辺にあった布を鷲掴むと、アメリは必死の形相でその部分をこすりつけた。
「ぜんぜん落ちない……!」
「せ、聖剣の乙女……」
呆気にとられたロランに後ろから肩を掴まれる。
「それは俺の服なんだが……」
手に取った布を見やると、それは確かにロランのシャツだった。
「そんなこと知りませんっ!」
ぷんすこ怒るアメリに、ロランは困ったように頭をかいた。
「分かった。次のときはちゃんと下に布を敷こう」
恥ずかしさで潤んだ瞳のまま、そういう問題ではないとアメリはロランを睨みあげた。
寝間着もとうに整えられていて、空は少しずつ白みかけている。
「ご、ごめんなさいっ」
慌てて身を起こした。
今から横になっても、大した時間は眠れないはずだ。
「いや、大丈夫だ。今日も出発を遅らせよう」
頷いてふらつきながら立ちあがると、アメリが座らせられていた机が目に入った。
一瞬、ロランにされた恥ずかしい場面がよぎったが、それよりも衝撃的な事実にアメリは叫び声を上げた。
「きゃあっ、机にシミがっ!」
明らかに最初にはなかった黒いシミが、まるで水をこぼしたかのように広がっている。
したたり落ちたような跡もあって、その下の床も同じようなシミを作っていた。
「いやぁあああっ」
どう考えてもそれはアメリが零した体液だ。
そこら辺にあった布を鷲掴むと、アメリは必死の形相でその部分をこすりつけた。
「ぜんぜん落ちない……!」
「せ、聖剣の乙女……」
呆気にとられたロランに後ろから肩を掴まれる。
「それは俺の服なんだが……」
手に取った布を見やると、それは確かにロランのシャツだった。
「そんなこと知りませんっ!」
ぷんすこ怒るアメリに、ロランは困ったように頭をかいた。
「分かった。次のときはちゃんと下に布を敷こう」
恥ずかしさで潤んだ瞳のまま、そういう問題ではないとアメリはロランを睨みあげた。