恋を知らない聖剣の乙女は勇者の口づけに甘くほどける。

第24話 体だけの関係

 次の日の宿はマーサと同じ部屋になった。
 サラは神官として何か仕事の依頼を受けたらしく、今日は別の場所に行っている。

「すみません、マーサさん。フランツさんと同じ部屋になりたかったですよね」
「いーの、いーの。あたし一度アメリとふたりでゆっくり話がしたいって思ってたから」

 マーサは最近フランツと恋仲になったらしい。
 宿でとれた部屋数にもよるが、ここの所はふたり同室のことが多かった。
 恋人同士が夜毎(よごと)語らう内容とは、いったいどんなことなのだろう。
 恋愛経験皆無のアメリには、想像することさえ難しい。

「フランツさんとは、いつもどんなこと話してるんですか?」
「そーね、食べ物の話とか旅の武勇伝とか、あと修行の話とか?」

 なんだかアメリが思っていたのと違う感じだ。
 勇者パーティーに選ばれるだけあって、ふたりは規格外なのかもしれない。

「マーサさんはフランツさんのどこが好きになったんですか?」
「ズバリ体よ!」
「か、からだ!?」
「フランツって、あたし好みの筋肉してんのよね。アッチの相性もばっちりだし」
「アッチ……?」

 体とはそういうことかと納得しつつ、あっちの意味が分からずアメリは首を傾げた。

「アッチって言ったらアッチよ。でさ、アメリ。ロランの方はどうだった?」
「どうだったって?」
「だからエッチに決まってんじゃん。あんたたちズッコンバッコン何度もヤってるんでしょう?」

 腰をかくかく動かしたマーサを前に、さすがのアメリも言いたいことを理解した。
 ボンっと真っ赤になったアメリを見て、マーサが腹を抱えて笑い出す。

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