恋を知らない聖剣の乙女は勇者の口づけに甘くほどける。
第27話 ほんとの気持ち
薄目を開けた先は知らない天井だった。
思考が働かなくて、そこに浮き出たシミの形をしばらくアメリはぼんやりと眺めていた。
「あ、アメリ、起きた? ねぇ、サラ! アメリが目ぇ覚ましたみたいよ!」
あれはマーサの声だ。
と思ったら、今度はほっとした様子のサラがアメリの顔を覗き込んでくる。
「よかった……三日も目を覚まさないから本当に心配しました。アメリさん、起きられますか?」
「サラさん、わたし……」
体を起こしながら、かすれ声に喉元を押さえる。すかさずサラから水を手渡された。
ここはどこなのか。なぜ自分はここで寝ていたのか。
直前の記憶が不明瞭で、アメリは部屋の中を見回した。
「安心して休んでください。アメリさんは静かな一人部屋に移してもらいましたから」
「アメリってばホント強運の持ち主よね。人喰い植物に完全に飲み込まれて、五体満足で助け出された人間ってあんま聞いたことないし」
マーサの言葉にはっとなる。あの森での出来事が一瞬で思い起こされた。
ひりつく体。助け出された自分。
運ばれながら夢うつつに見た光景は、真っ赤に染まったロランのシャツだ。
「わたし、勇者のところに行かなくちゃ……!」
弾かれるようにベッドを降りた。
アメリが三日も寝ていたということは、その間ロランは癒えない傷を抱えて過ごしていたことになる。
ロランの居場所も分からないまま、アメリは部屋を飛び出そうとした。
「ここは通せません、アメリさん」
「どいて、サラさん! 勇者は酷い怪我をしてるんです。早くわたしが癒してあげないと!」
思考が働かなくて、そこに浮き出たシミの形をしばらくアメリはぼんやりと眺めていた。
「あ、アメリ、起きた? ねぇ、サラ! アメリが目ぇ覚ましたみたいよ!」
あれはマーサの声だ。
と思ったら、今度はほっとした様子のサラがアメリの顔を覗き込んでくる。
「よかった……三日も目を覚まさないから本当に心配しました。アメリさん、起きられますか?」
「サラさん、わたし……」
体を起こしながら、かすれ声に喉元を押さえる。すかさずサラから水を手渡された。
ここはどこなのか。なぜ自分はここで寝ていたのか。
直前の記憶が不明瞭で、アメリは部屋の中を見回した。
「安心して休んでください。アメリさんは静かな一人部屋に移してもらいましたから」
「アメリってばホント強運の持ち主よね。人喰い植物に完全に飲み込まれて、五体満足で助け出された人間ってあんま聞いたことないし」
マーサの言葉にはっとなる。あの森での出来事が一瞬で思い起こされた。
ひりつく体。助け出された自分。
運ばれながら夢うつつに見た光景は、真っ赤に染まったロランのシャツだ。
「わたし、勇者のところに行かなくちゃ……!」
弾かれるようにベッドを降りた。
アメリが三日も寝ていたということは、その間ロランは癒えない傷を抱えて過ごしていたことになる。
ロランの居場所も分からないまま、アメリは部屋を飛び出そうとした。
「ここは通せません、アメリさん」
「どいて、サラさん! 勇者は酷い怪我をしてるんです。早くわたしが癒してあげないと!」